二人のおうち
「沙帆、遠い」
「普通ですっ」
沙帆は明らかに洋太から離れて、とは言ってもベッドの上だから狭いのだが、洋太に背を向けてタオルケットを被っていた。
「そんなに離れなくても」
「きゃあ!」
洋太は沙帆の腹部に手を伸ばし自分の体に沙帆を引き寄せた。
「な、何をするんですかっ」
「まあまあそんなに怒るなよ」
「そんなっ」
背を向けている為に洋太は沙帆の顔を正面からは伺えないが、沙帆の耳の後ろから首、うなじにかけて肌が真っ赤になっているのを見て顔がにやけた。
「もうっ……、洋ちゃ」
「うん」
洋太はそれでも沙帆の腹部に回した手を退けようとはしなかった。
それどころかぎゅうと腕に強く力を入れて沙帆を抱き寄せた。