神の使者
仲が悪い訳じゃないけど、もしかしたら父さんもあの父親のように俺とキャッチボールしたいとか思ってるのかな。
そう思うと胸が締め付けられ、死んだ事を酷く後悔する。
そんな達也に声をかける事もなく、零が男に近付く。
「時間だ」
零が終わりの時間を告げると、父親は笑って男の頭を撫でる。
「あの世に行っても、悪さして神様に迷惑かけるんじゃないぞ」
「分かってるよ」
男はすっきりした笑顔を見せる。
「じゃあな」
「ああ」
そして父親が消え、後を追うように男も光の粒となって消えた。
俺達はまた一人の死者を神の元へ送った。
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