神の使者
でもこのままだと零が前に言っていたように祐介が悪魔になってしまう。それだけは絶対に避けたい。
達也は祐介の目線の高さに合わせて屈み、
「願い事があれば言ってみろ。俺が何とかしてやるから」
「パパとママに仲直りしてほしい」
「パパとママ?」
祐介の視線を追って隣の部屋を見てみると、祐介の両親と思える大人が二人、向かい合って座っていた。
その二人の間には一枚の紙。
「俺の話を聞いてるのか?」
「どうして今そんな話をするの?」
「いいから、離婚届に判を押してくれ」
「私が祐介を守れなかったから?でもあの場にはあなたもいたのよ?」
「いいから押せ!」
二人は自分の息子が見ているとも思わずどんどんヒートアップしていった。
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