神の使者
死神は笑うだけで鎌を退けようとしない。
と、羽を刺したまま祐介が立ち上がる。横顔しか見えないが、目は虚ろで表情の色が見えなかった。
「祐介!」
達也が呼びかけても祐介は反応を見せず、そして祐介は母親の元へと近付いて行く。
「とにかく判を押せ。お前とは離婚する」
祐介は殴られ泣いている母親に近付くと、甘えるように母親の背中にピッタリとくっつく。
すると母親は一度ビクッと体を震わせ、そして祐介と同じように虚ろな表情になりフラフラとキッチンへ向かって行く。
「何する気だ…」
剣を持つ手を緩めず達也が見ていると、母親が手に包丁を握りしめ父親に近付く。父親は背中を向けていて母親に気付いてない。
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