あたしの愛、幾らで買いますか?
あたしは

勝手に部屋に入られる事が嫌だから。

他人にされて嫌なことは基本的にはしない。


時間を持て余したあたしは、

プライベートルーム以外を散策した。

少しだけドキドキするけれど。


キッチン…

トイレ…

お風呂場…


あたしはそれらを目の当たりにする度に

小さく驚きの声を上げる。

全部がピカピカで煌びやかだった。

綺麗好きなのか

料理をしないのかわからないけれど、

キッチンは特に綺麗だった。


お風呂場を覗いて少しだけ嬉しかった事は

とても些細なことだけれど

あたしが家で使っているシャンプーが

一緒だったこと。

それだけで、勝手に頬が緩んだ。


「早く帰ってこないかなぁ…」


テレビの前にある

ソファに倒れこんだあたしは

天井を見つめて小さく呟いて、

そして、目を閉じた。


< 296 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop