あたしの愛、幾らで買いますか?
キッチンへ様子を見に行こうと

ソファーから立った時に

ダイニングテーブルに

書置きみたいなメモが置かれていた。


「…出る時、
 なかったよね」


思わず呟いていた。


そして、

そのメモを手にした時

あたしは目を疑った。


あたしの目に映ったのは

たった5文字の言葉。


あたしの視界はぼやけて

そのメモに書かれた文字が

幻のようにも思えた。


ベタだけど、

あたしは今の状況が

現実なのか夢なのか知りたくて

握りこぶしを作り

自分の太ももを叩いた。


太ももにはじんわりと痛みが伝わった。


現実だった。



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