あたしの愛、幾らで買いますか?
笹井からプロポーズを受けた4年後、

あたし達は約束通り結婚した。

彼は4年の猶予をくれたけれど

ネックレスは結局外せずに居た。

彼は、それでも構わないと言ってくれた。


そして、翌年息子が生まれた。

名前は


『夢に向かって歩く』


と書いて歩夢(あゆむ)と名付けた。

彼が考えたのだ。

丁度、息子を授かった時に

ネックレスのチェーンが切れたのだ。

只単に、チェーンが脆くなって

壊れただけなのか、

それとも、

あたしの中にあった朔羅への想いが

浄化されたのか…

それとも、

朔羅が願ってくれた

あたしの幸せが実ったからなのか。

チェーンが切れた真相はわからないけれど、

あたしは確かに幸せだ。


そして、

息子が生まれた二年後に

娘の瑛美が生まれた。

瑛斗の‘瑛’という字と

あたし、歩美の‘美’という字を

寄り添わせた名前。

瑛美(えみ)

この名前はあたしが名付けた。


彼とあたしがいつまでも

寄り添っていられるように

子供達が自慢できる夫婦で

居られる様に…


そんな願いをこめて付けた名前。


この子達が居るから、

あたしは、より一層幸せなんだ。

子供が生まれて改めて知った

≪無償の愛≫を…―。



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