星の哀歌
よりによってこんな瞬間に、お兄ちゃんが来てしまった

その声にひるんでいる一瞬のうちに、お兄ちゃんはアタシから山内さんを引き離した

脱力してよろける山内さんの背中をお兄ちゃんは支えた

美紀を殺したにも等しい男をかばうように、お兄ちゃんはアタシに立ちはだかる

なんでそんなやつの味方をするの!?

お兄ちゃんまで酷いよ!

「出て行ってよ!

これはアタシと山内さんの問題なの!

お兄ちゃんには関係ないの!」

「お前がこの人を恨む理由はないはずだ。店でわめくのは営業妨害だぞ。とっとと帰れ」

「理由ならあるよ! こいつが美紀を殺したんだ!」

パァンと乾いた音がしたあと、頬に熱さを感じた

ジンジンとした熱さはしだいに痛みに変わっていく

お兄ちゃんがアタシの頬を打った……


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