ただ君が好きで
あれこれ考えていた4時間後の出来事。
「未玖、彼氏出来たぁ」
昼休み、未玖の爆弾発言に、あたしは飲んでいたレモンティーを吹き出しそうになった。
「えっっ!?未玖、どういうこと??相手は誰??」
すかさず質問する。
未玖は昔からモテたが、彼氏は作った事がなかった。
なぜなら、男嫌いだから。
過去に父親に捨てられたこと、兄に暴力を受けていた事があった。
きっと、その過去が男嫌いの原因だろう。
未玖は俯きながら言った。
「和樹は…裏表ないし、優しいし…」
「え、“和樹”って…」
その名前だけですぐに、山下和樹の事だと分かった。
昔から一途に未玖の事を想い続けていた。
未玖はモテるから、自分の株をあげようと優しくしてくる男子はいっぱいいる。
でも、和樹は違った。
相手が誰であろうと、平等に接する事の出来る人。
裏表のない優しさを持っている。
それは、あたしも知っていた。
未玖、やっと心を開ける男子に出会えたんだね。
「幸せにしてもらえよ~笑」
「ありがと雪菜!また相談のってね」
「了解ーっ」
和樹、想いが届いてよかったね。
今度和樹をからかいにいってやろう。
「ねえ雪菜」
「ん?」