ただ君が好きで
“あの校門にいる人、他校だよね?”
“えっ結構カッコよくない?”
“確かあの人ってさぁ…”
放課後、廊下を歩いてると近くにいる女子の話し声が聞こえた。
それで思い出した。
…あっ海斗が校門で待ってるんだった!
すぐに教室にカバンをとりにいこうと思った瞬間、
“瀬川雪菜ってこの彼氏じゃなかった?”
自分の名前が聞こえて来て一瞬、どきっとした。
なんとなく気になって思わず足をとめて耳を澄ます。
会話は続く。
“えーっいいなぁ”
“何であの子ばっかり?”
“そうそう!優太くんとも仲いいしさぁー”
優太…?
“ほんとそれ!優太くんと付き合ってないくせに一緒に登校してるし!”
“優太くんはみんなのアイドルなのに”
“ずるいよねー”
…。
ズキッと痛む心臓。
話している女子は、あたしが聞いているなんて気付いてないんだろう。
なおも、話続ける。
でも、あたしには耳に入らない。