虹が見えたら

沢井は仕事で遅くなってしまったので、返事がなければフロントに預けようと思ったと言って、八ツ橋などの和菓子の入った紙袋を持っていた。


なるみはお土産を簡単に受け取った上で、沢井が持っていたコンビニのレジ袋が気になっていた。


「あれ?なるみさん・・・もしかしてお腹がすいてるとか?」


「え、まぁ・・・。ちょっと軽く食べられるものを買いに行こうかとしてたところで。」



「じゃあ、これから僕と何か食べに行きましょうか。
じつは、まだ夕飯にありついてないんですよ。」


「で、でも・・・私、ちゃんとしたお店で食べられるだけの持ち合わせが・・・。
それに・・・」


”ぐぐぐぐぐ・・・ぎゅるる~~~”


「あははは。なるみさんもか・・・今すぐ何か食べないとすごくつらい!
ホテルの庭のとこでサンドイッチかおにぎり食べますか。」



「沢井さん、じゃそのレジ袋のなかみって」


「なるみさんがいなかったとき食べようかと思って、おにぎりとサンドイッチを買ってきました。
あ、それと食事代は僕がおごらせてもらいますよ。」



なるみは沢井と京都で会えて、本当に運命の出会いがあってよかったと思った。



結局2人はラーメンやお茶漬けを食べさせてくれる店で軽く食事を済ませ、沢井はなるみをホテルまで送った。


「遅くなってしまいましたね。お友達は大丈夫?」


「もう遊び疲れて爆睡でしたから。私と違ってお腹いっぱい食べてたしね」


「なるほどね。じゃ、僕はこのホテルのすぐ北側のホテルなんで、もどって寝ます。
明日はすぐに学校までもどらなきゃいけないので、挨拶に来れませんが旅行中気をつけて。」



「はい。ほんとにごちそうさまでした。
あっ!間違えた。ありがとうございました。」



沢井はクスクス笑いながらホテルを出て行った。


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