虹が見えたら
なるみはクラスの友達と京都まで出向いたのだった。
「やっぱり歴史を感じるよね~~~」
「お寺のすすとか神社の鳥居の色とかさぁ・・・」
はしゃぎながら、神社仏閣巡りをした後で京都駅近くまでもどってきたときのこと。
「あれ、なるみさん?」
「あっ、沢井さん。」
2人は顔を見合わせるなり、ゲラゲラ笑いだした。
「これを何といいますか?」
「はい、運命です!」
「卒業旅行ですよね。あとで差し入れ持って行ってあげるからホテルの名前をメールで教えてください。」
「え、いいんですか? わかりました。着いたらすぐメールしますね。」
そしてホテルに着いたなるみはその広さと美しさにびっくりした。
「こんなゴージャスなお宿だったの?」
「あれ、言わなかったっけ?
けっこういいとこだからね~ってみんな積み立てしてたんだよ。
なるみには伊織様というスパッとシャープな払いのお兄様がいるから、言っちゃいけないと思ってたんだけどね。
たまだからぜいたくしようってことで。」
「そうだったんだ。私は学力向上のことでいっぱいでお金のことなんて気にもしてなかったよ。
そっかぁ・・・お兄ちゃんがごほうびくれたんだわ。お兄ちゃんありがと。」
なるみは思わず、手を合わせた。
夕食も浴衣姿でホテル内のレストランで済ませることになったが、なるみは旅行代として払っていた以外のお金はあまり持ち合わせていなかったので、ひかえめにすませた。
すると、夜半時になってお腹がすいてきた。
「仕方ない、ジュースとお菓子でも買ってくるか・・・」
と、部屋を後にしたところで息をきらして立っている沢井に出会った。