虹が見えたら

寮の裏口の横に管理人室があった。
虹色寮は表玄関の前にあるので、とても目立ったところだったが、ここは人気があまりないようだ。


沢井は少し強引に管理人室になるみを連れて入ろうとしたが、なるみは怖くなって入ることを拒んだ。


「デートの続きです。襲ったりはしませんよ。
大崎家に行ってみたいと思いませんか?」


「それは・・・」



「じゃ、その中で打ち合わせしましょう。」



「あの、でも・・・」



管理人室の前でなるみが困っていると、突然大声がした。



「山田なるみ!やっぱりそうだ。
どうした?こいつにいじめられてるのか?」



「大崎郁未・・・くん。」


「おお!」



郁未はなるみから沢井の手をはたき落とすようにして、自分がなるみの手首をつかむと学院の庭へと走っていった。



「あのときより・・・前会ったときよりさ・・・きれいになったな。
やっぱ、女子大生ってきれいだ。」



「ありがと。郁未君は自宅生なのに寮に入るってきいたけど・・・。」




「ああ。さっきの事務長にきいたのか?
なあ、俺から先に質問させてくれないか?
あんたは須賀浦真樹の何?」



「真樹さん・・・郁未君のところに来たのね。」



「質問に答えてからだ。」
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