虹が見えたら

真樹はうれしそうな笑みを浮かべると、立ち上がろうとしたなるみを押し倒してス~ス~寝息をたてはじめた。



「寝ちゃった・・・」


きっと、郁未を説得するためにがんばっていたのだろう。
なるみは動けずにもがきながらも笑みがこぼれた。



結局、なるみはその日は学校を仮病で欠席することになってしまい、真樹はひたすらなるみに謝り続けた。



夕方になって、真樹は郁未と仕事をしてくると言って出かけていった。
郁未がやる気になって、真樹について勉強するらしい。




なるみは予定通り、花咲保育園へと出かけた。
園長先生はじめ、みんなあいかわらず奮闘中だったのがわかる有様だった。

なるみは桐谷と教室の掃除を済ませ、それから園長先生と実習を兼ねてのアルバイトの話をした。



「うちはあなたに手伝ってもらうのはうれしいけど、体は大丈夫なの?
桐谷先生から聞いたんだけど、実業家の仕事してたとか。」



「あ、その仕事はもう終わりました。
親代わりの人の会社の仕事を手伝ってただけですし、こちらで勉強させてもらうことも了解済みです。」



「親代わりの人って長身できれいなあの方よね。」


「はい。」



「あ、やっぱりそうだったのね。
じつはね、砂場の上に日陰用の屋根をつけてくださったり、荒れた花壇の石を新しい石に変えてくださったりとすべて手配していただいたのよ。」


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