虹が見えたら
なるみが目を覚ますと、なるみはベッドの上だった。
「あ、あれ?ここは・・・真樹さんのベッド。
え、ええーーーーっ!?」
慌ててベッドから降りると音のする方へと走っていった。
台所で真樹は朝食を作っていた。
「何をやってるんですか?病人は寝てなきゃ!」
「あ、なるみちゃん、おはよう。
熱も下がったし、なるみちゃんがずっとついててくれたから朝ごはんをね。
ごめんね、面倒を見させた上にちゃんとした寝床も用意してあげられなくて。
起きたときに、なるみちゃん床で寝てたからベッドに移動させたんだけど起こしちゃったね。
それに、今日じゃなかった?
高倉くんのところにお姉さんの遺品を持っていく予定の日。」
「あっそうだ。それでご飯作ってくれてるんですか?」
「そういうわけじゃないけど、ひとりだと食べる気がしなくて。
なるみちゃんとだったら食欲出そうかな・・・なんて。」
なるみは、真樹のこういう甘えた言葉にも弱い。
きっと真樹と同じ年の別の男性だったら気色が悪いとも思える言葉なのに、真樹がちょっと困った表情を浮かべて甘えたことをいうと、無視することができなくなるのだった。
「お休みの日・・・ここでご飯食べてもいいよ。」
「ん?・・・なるみちゃん、ありがとう。
でもね、僕はいつも休日ここにいるとは限らないし、なるみちゃん朝寝坊したいでしょう。
僕に気を遣わなくていいからね。
昨日も、ほんとに迷惑かけちゃって・・・」
「どうしてですか?どうして、あんなことしておいて今度は突き放すんですか?
べつに、何もなかったとして考えても、保護者になってくれたってことは家族になってくれたんでしょう?
どうして、ご飯食べたり、看病したりするのが迷惑なんですか。
やっぱり私はめんどくさいって思ったんですか!」
「なるみちゃん・・・。
迷惑じゃないし、めんどくさいなんて。
迷惑かけてるのは僕の方で・・・なんだろうな、ぶっちゃけ言うと、手のうちを見せるのが怖いっていうか、はずかしいというか。
僕は手がかかるらしいんだ。伊織によく指摘されてしまうんだけど。
なるみちゃんの前では、もっと大人らしくしていたくて。」