6月の蛍―宗久シリーズ1―
このまま金森との関係が続けば、この感覚はいずれ現実となり、私を襲うだろう。



この世の綺麗なものから、私だけが取り残されてしまうだろう。



守りたいただ一つのものさえ、この手を離れる事だろう。






その恐怖は、身体の内側から更に私を凍えさせた。










いっそ………子供ができない身体の事を、夫に打ち明けようか………。








考えて、首を振った。





どう伝えればいいのか、その言葉を私は知らない。






真実に、適切な言葉は無い。




飾り立ててはいけない。






真実は、真実であるがゆえ、意味を持つのだから。






有りのままを伝える勇気が、弱い私には無かった。







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