流星ラジオ
皿に盛ったシチューをスプーンですくい、口元まで持っていき、咀嚼して飲み込む。
短い間の一連の動作を、羽美は瞬きもせず見つめていた。
「おいしい」
自分の作った料理で誰かに表情を緩められることが、こんなにもうれしいとは思っていなかった。
白濁色のシチューに自分の顔は映らないけれど、自分も海月のように微笑んでいるのだと。
シチューを口に入れてもいないのに確信した。
小さなテーブルを挟んで向かい合って、彼と笑いながらご飯を食べる。
それがとても大切で貴重なものだとは、考えもしていなかった。
彼が側にいること、自分が彼の側にいること、共に暮らしていること。
すべて当たり前のことだった。
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