流星ラジオ


恋人になれば海へ出かけたりするものなのかと、羽美は海月に訊いたことがある。

水着を着て砂浜で遊んだりした方がいいのだろうか、と。


けれどそんな風に恋人という関係にどぎまぎしている彼女とは違い、彼はクールだった。

「海なんて行かなくても、恋人らしいことはいっぱいできるよ」

「う、そ、そうだけど…」


口ごもる羽美に、海月は意外なことを呟いた。

「それに俺、海水浴ってあんまり好きじゃないんだよね」

「え、なんで?」

意外なものだった。
海月という名前を付けられているからには、海が好きなことが当たり前だと思っていたのだ。


「だって、人多くて疲れるじゃん」

理由もまた、のんびり屋な彼らしいものだった。


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