月物語 ~黒き者たちの宴~
言葉に詰まる。
東老師は礼の瞳を真っ直ぐ捕らえた。
その一瞬ともいえる短い時間に耐えきれず、礼は目を逸らしてしまった。
「私は、主上の力になれます。
ですが、我々はあくまで主上の手足なのです。
今度、王宮を案内いたしましょう。
合わせたい人がおります。」
人に会わせる。
それはとても重要なことだ。
進展を迎えたと思った。
東師の紹介なら、信頼できる。
しかし、結局核心には近づけてはいない。
それが今の礼の実力だった。