月物語 ~黒き者たちの宴~
朝議には欠かさず出ている。
相変わらず高官たちの目には、礼が写っていない。
初めこそそれが腹立たしかったが、実際意見を求められても困る。
自分では分からないことに、差して立腹するようなこともないと思い始めていた。
礼が朝議ですることは、承諾と許可だけだ。
「この日照りで、餓死者が後を絶たない。
雨乞いの儀を急いで行わなければ。」
金大好が言った。
礼は、この男がさして嫌いではない。
だが、かなり愚かだ。
はっきり言って、金のことしか考えていない。