月物語 ~黒き者たちの宴~



朝議には欠かさず出ている。



相変わらず高官たちの目には、礼が写っていない。



初めこそそれが腹立たしかったが、実際意見を求められても困る。



自分では分からないことに、差して立腹するようなこともないと思い始めていた。



礼が朝議ですることは、承諾と許可だけだ。



「この日照りで、餓死者が後を絶たない。
雨乞いの儀を急いで行わなければ。」



金大好が言った。



礼は、この男がさして嫌いではない。



だが、かなり愚かだ。



はっきり言って、金のことしか考えていない。



< 102 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop