月物語 ~黒き者たちの宴~
―あぁ、そうか。
礼は、ある策を思い描いた。
金大好が今、考えている策である。
半月の間、彩夏たちを除いて、彼が一番頻繁に礼の元を訪れた。
勿論、礼に気に入られるためである。
あからさまな媚にも、賄賂にも、嫌な気はしなかった。
彼は、金しか見ていない。
けれど、礼も見ている。
この愚かな男すらもいなかったら、礼の存在は消えよう。
彼が頻りに雨乞いをやりたがるのは、大金が動くからだ。
金大好の考えそうなことだが、礼はあえてその策に乗りたくなった。
「いや、それより干ばつの激しい地域には、水と食料の物資を優先すべきでないか。」