月物語 ~黒き者たちの宴~



獅子という男は、若く魁偉な人物だ。



房厨長とは比べ物にならないほどの膂力が、いやでも目につく。



まるで筋肉の鎧を着けているような男だ。



「これ獅子。言葉遣いには気をつけいと言っておろうが。」



珍しく東苑が険しい顔をした。



獅子は、へーいと頭をかく。



―獅子と東師って親しいのね。



これだけ砕けた東苑を初めて見た。



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