月物語 ~黒き者たちの宴~
その後も王の衣や装飾品を預かる笥官殿、献上品や国宝を保管する天宝殿など4つの宮を見て回った。
この宮内すべての人や物が、自分のものだという事実は、あまりうれしくなかった。
それがなぜなのか、そしてこの世界の真実を考えているうにち、最後の清罪宮に着いた。
出迎えに来たのは獅子という男であった。
「無理言って悪かったな。
ここは清罪宮。
その名の通り、罪を洗い流し、清める場所だ。」
清罪宮には、特別な罪人たちが集められる。
凶悪犯や地位の高い犯罪者、国家機密に関わる犯罪者たちである。
東苑のかぶきものというのは、どうやら獅子のことだった。