月物語 ~黒き者たちの宴~
「獅子って男、まったく何なの!」
「獅子様はああ見えて、優秀な官吏なのですよ。
それに、密かに人気もあったり。」
光燐はお茶を入れながら言った。
それはわかるような気がする。
男としての彼は、女官たちの間では及第者だ。
しかし、礼は官吏としての彼に、及第点を出すわけにはいかない。
茶葉のよい香がした。
「ガサツな点は否めませんが、きっと主上のお力になってくださいますわ。」
「それはない!
絶対ない!」
礼はあからさまに渋面顔をすると、光燐は笑った。
それから3日の間に、雨乞いの儀について詰められた。
その間もずっと平当をは反発し続けた。
獅子は朝議には出られないが、もし出たなら平当と同じ意見を言うだろう。
そんなことを度々考えた。