月物語 ~黒き者たちの宴~
『民が亡くなってからでは遅いのです。
雨乞いに何の意味がありますか!
民が今必要としているのは、早急なる物資です。
雨乞いなどしている間に、多くの民が命を落とすのですよ!』
礼はただ聴いていた。
子州、丑州は疲弊している。
砂漠の多い州、そう習った。
場所も知っている。
『今我々に出きることは、ほんの少ししかないのです。
それでも、あなたは…それすらも…』
『天を疑うか!
主上がお決めになったのだ。
雨は降ろう。
さすれば、民も救われる。
それに、すでに案は煮詰まった。
―――――主上予算に関してですが…』
『それは金少府、お前に任せる。』
金大好が頭を下げた。
下げた頭の下でほくそ笑む顔が浮かんだが、構わなかった。