月物語 ~黒き者たちの宴~



「ようこそ、天界赤国へ。
我は雉院と申す。
この度のご無礼、どうかお許し頂きたい。」



雉雀がゆったりと寛ぐ姿があった。



雉雀らしい、彼女を象徴するような部屋だ。



だがその絢爛さには、違和感を感じる。それはち雀自身にも当てはまる。



「いや、私も一度お会いしてみたいと。」



「それはそれは光栄です。
―――宋春、何をしておる。」



雉雀は、宋春に早くもてなすよう促した。



どうやら、宋春は先程の発言についてまだ考えていたようだ。



急いで茶の用意に取りかかった。



この部屋には何故か侍女がいない。


< 167 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop