月物語 ~黒き者たちの宴~
「ようこそ、天界赤国へ。
我は雉院と申す。
この度のご無礼、どうかお許し頂きたい。」
雉雀がゆったりと寛ぐ姿があった。
雉雀らしい、彼女を象徴するような部屋だ。
だがその絢爛さには、違和感を感じる。それはち雀自身にも当てはまる。
「いや、私も一度お会いしてみたいと。」
「それはそれは光栄です。
―――宋春、何をしておる。」
雉雀は、宋春に早くもてなすよう促した。
どうやら、宋春は先程の発言についてまだ考えていたようだ。
急いで茶の用意に取りかかった。
この部屋には何故か侍女がいない。