月物語 ~黒き者たちの宴~



「主上は、なぜ私に会いたいと?」



「だってあなたも王だったのでしょう?
どんな方なのか会ってみたいわ。」



宋春がお茶をいれた。



茶からは花が香っている。



「で、どうじゃ?」



「…今はまだ、想像通り、かしら?」



礼は少し皮肉を交えて笑って見せた。



宋春の茶器が、カタリと音を鳴らす。



「ほっほっほ。そうかそうか。」



「あなたは私に真面目な用があったのでしょ?」



雉雀は目を細め、出された茶を手に取った。



手を温める。


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