月物語 ~黒き者たちの宴~



「主上にとって―――
いや、わたしにとってもかなり重要な話になる…」



内密の話。



侍女がいないのはそのためだと思った。



「私は子どもではない。」



雉雀は、扇で口元を隠す。



礼からは笑っているように見えた。



「主上は賢くあらせられるようじゃな。」



「話す気になれそうか?」



今度は口に出して笑った。



控えていた宋春は、礼がち雀と対等に渡り歩いていることに感心した。



「話そう。
そなたを少し見くびっていたようじゃな。」



「お褒めの言葉と受け取るわ。」



礼は黒く微笑む。



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