月物語 ~黒き者たちの宴~
「気に入った。
では、話すとしよう。」
礼は、雉雀を考えていたより悪くないと思った。
「おぬしの、主上の身体のことじゃがのぉ。
飛燕のことは聞いておいでだろうが、その身体には誰にも言えぬ秘密がある。」
「秘密?」
いきなり深いところに来たような気がする。
「主上には知っておいてもらわなければならないことじゃ。
飛燕が自ら器となることを志願したのは聞いたな。
我も赤国国王最後の仕事として、そなたを迎えるのに手をかした。」
「つまり、飛燕の器と魂を分離させることを?」