月物語 ~黒き者たちの宴~



「そうじゃ。
さすがの土の君も、一人では何ともならん。
我と劉向、天の力ある者達で行うことになった。
だが、正直申すとそこに戸惑いもあった。
彩夏はそれを受け入れていたが、どうしても我には…」



雉雀の手は震えていた。



「我には全てを奪うことはできなかった。」



「どっ、どういうこと?」



礼は思わず立ち上がった。



「あやつはほんに我を慕っていた。
そなたが悪い訳ではないが………なぜ、………なぜ飛燕なのじゃ!!!」



雉雀の瞳孔がかっと開いた。



同時に呼吸が荒くなる。



宋春が落ち着かせようとする動きは、手慣れていた。




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