月物語 ~黒き者たちの宴~
―2―
「どういう、こと?」
劉向が何者かに殺された。
実感がわかないのに、血の気が退いていく。
これで二人目だ。
実は、礼も最近知ったことなのだが、三公の次官の何がしかが亡くなったらしい。
悲しいという感情よりも、焦りや不安が駆け巡る。
飛燕の助言の通り、彼には何かあった。
殺される何かが。
今は、それを知る術はない。
力もない。
人もない。
劉向の発見された場所は、如何にも意味深だった。
「何故、清罪宮で?」
「それが、事件に関する情報が殆ど流れてこなくて…」