月物語 ~黒き者たちの宴~



「それをお前に答える義理はない。」



「なんだと?
こんなとこ見られて、しらばっくられると思うのか?」



「そんなつもりはない。」



宋春は、礼が持っていた鍵を優しく取ると、劉巾に放り投げた。



「これはお前に預ける。」



「何?」



劉巾は眉をひそめる。



「我々は行くところがある。」



そう言うと宋春は歩きだした。



「ちょっと待って。」



礼は朱雀のもとにかけよった。



「朱雀。
絶対あたしが助けるから。
だからそれまで―――」



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