月物語 ~黒き者たちの宴~



朱雀が礼の手を掴んだ。



その手にはもう力はない。



チャリ。



「???」



朱雀が包んだ礼の手には、首飾りが握らされていた。



「―――――くれ。」



そして、礼だけに聞こえる声で、朱雀は呟いた。



礼の目が見開く。



やはり、この世界は…。



「わかった。
だから、“あなたは生きて”」



劉巾を横目に、礼は宋春を連れて駈け出した。



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