月物語 ~黒き者たちの宴~
その朱雀と入れ違いに、痩せこけた男が医官に連れられて来た。
その存在に、高官たちは仰天した。
「…おい。
どういうことだ。
彼は死んだんじゃ…」
蒙御史大夫の弟、張湯である。
張湯は、転がされている兄を見た。
目を背くことはしないと、心に決めてここへきた。
―祝融のやろー、わかってたな。
この男がいれば、“残りの問題”も解決する。
しかし、それはとても酷なことだった。
「で、そっちの蒙御史大夫のことなんだが。」
獅子が、おっと出番だと、話出す。