月物語 ~黒き者たちの宴~



「今回の“殺人・監禁事件”の黒幕。」



高官たちがざわめく。



「いやー、最近使われてなかったから、俺もそのに気付くのが遅れて。」



「………。」



「あれ?
言わなかったのか?
禁牢に祝融とこの弟が放りこまれてたって。」



さすがの高官たちも気付いた。



清罪宮にあって、延尉たちの管轄でない場所。



「禁牢はおれも手だしできね―し、本当上手いとこみつけたなっ…と。」



杜延尉に睨まれた獅子は、たじろいだ。



「禁牢開けるなんてそう易々とできるもんじゃないし、こっちが潜り込んでも証拠たちはつれてけねーし。
本当どうーしよーかと思ってたんだが。」



「王が開けてくださった。」



初めて張湯が口を開いた。



縛りあげられたまま転がされた蒙易冶は、目を強く瞑る。




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