月物語 ~黒き者たちの宴~



―そう。
私は囚われていた。



自分の役目に―――。



でも、あの王は受け取ってくれた。



私の重石もろとも。



「それは絶対に言えぬ。
天の罪を犯すことになるからな。」



高官たちが顔をしかめる。



そう言われてしまえば、何もいえない。



「王不在の今、最も権威のある者は私だ!
とはいえ、私が預かるのも信用を欠く。
杜延尉、そなたらが預かれ。」



杜凛周は頷いた。



「御意。」



「そんな無茶苦茶な…」



朱雀は荒々しく立ち上がり、劉巾の支えを振り切って部屋を出て行った。



―まだ、話し終わってねーんだけど…



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