月物語 ~黒き者たちの宴~
扉が開かれる。
赤い絨毯の先には、玉座が見えた。
その道を造るように、高官たちが平伏している。
独りで歩く道は、不思議なほど悲しかった。
階段を登って、玉座に座る。
―あぁ、これが玉座。
思ったより高い。
高官たちがよく見下ろせる。
礼は、表情が変わらないよう堪えた。
別に、見られている訳ではないが、崩れてしまっては威厳がなくなりそうな気がしたからだ。
「皆皆、面をあげよ。」
一気に高官たちの視線が集まる。先ほどの症状がぶり返しそうになった。