月物語 ~黒き者たちの宴~



これが先ほど光燐が言っていた扇だとわかった。



礼は扇を受け取り、高官たちに見せつけるように掲げる。



「我が赤国国王なり。」



高官たちが一斉にひれ伏した。



もちろん、女もだ。



彼らの視線から逃れて、やっと全体が見渡せた。



見下ろす高官の中に、彩夏の姿もある。



劉向が再び立ち上がった。


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