月物語 ~黒き者たちの宴~
「そなたが何かを隠しているのは調べがついているのだぞ。」
「主上にも隠し事をいたすか!」
他の高官たちの野次が飛びかう。
「この場に及んでまだ知らぬふりか?」
平当が皮肉を交えて笑う。
「蒙(もう)御史大夫、しっかり見極めてもらいたい。」
自分の存在がかき消された気がした。
礼には何もわからない。
だが、赤国で何かが起こっていることは間違いないようだ。
しかも朱雀を巻き込んで。
それを明白にするためにも人が必要だと思った。
彼らはどちら側だろうか。