月物語 ~黒き者たちの宴~
「祝融様に最後に会ったのはあなたでしたね?」
「左様でございます。」
「今おわす方は、土の君が送られた方。
なれば、王と認めましょう。
しかし、なぜ祝融様のお姿がないのです。」
少し感に触る男だが、礼も聞きたかったことだ。
「私もそれは聞きたい、劉向。」
礼は言った。
「それは…」
「そもそも、何故黄国から王がお送りされたのか?
祝融様は王を迎えしなかったのか?
こそこそせずに、いっそこの場でご説明願おう。」
平当と劉向は仲でも悪いのか、と礼は思った。
「祝融様のお話は…」
そう言った彩夏の顔に、焦りが見える。