月物語 ~黒き者たちの宴~

―2―




「さぁ、主上。
本日は州の特産品について勉強いたしましょう。」



痩せて、長い髭を生やした老人。



彼が礼の教育係である。



名を、東 苑(とう えん)という。



いつも柔らかく微笑んではいるが、勉学には滅法厳しい。



即位式の翌日から、みっちり仕込まれた。



それは礼にとって、ありがたいことでもあった。



勉学は苦でない。



王には必要だとも思う。



この赤宮についても同じだ。



知るべきことがたくさんある。


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