雨のち晴
「じゃ、またね!」
「今日はありがと~!」
遠くなっていくみんなに手を振る。
「ほら、行くぞ。体冷えるから」
店の外には、ちらほら
雪が降っていて。
傘も何も持っていない
あたしたちは、
仕方なくそのまま帰ることに。
諒司先輩の手には、
あたしがもらったプレゼントたちが。
そして空いてる手は、
あたしと繋がっている。
「今日は本当にありがとうございました」
「美味しかったな、あそこ」
イルミネーションがすごく綺麗で。
街中が、クリスマスモード。
あたしたちも、その中の一組で。
「俺たちが過ごす、初めてのクリスマスだな」
「うん」
今頃、何してるのかなって。
里菜ちゃんといるのかなって。
そんなことを思って、
すぐに掻き消す。
こんな時でも、
考える自分に心底呆れる。
「付き合って1ヵ月経ったな」
「思ったより早かったなぁ」
「俺は遅く感じたけど?」
そんなことを話しながら。
もうそろそろ、あたしの家。
「また来年もみんなで祝えたらいいな」
また来年も。
そう言われて、あたしは
微笑むことしか出来なかった。
来年の今日、
あたしたちはどうなってるのかな。
まだ一緒にいるのかな?
それぞれの道を、歩いてるのかな?
「朱里、来て?」
角を曲がれば、あたしの家。
いつもこの角で、ばいばいするあたしたち。
だって家の前だと、
見つかった時にうるさそうだから。