雨のち晴
「朱里ちゃんって、藤田くんと仲良いよね」
「あたしも思ってた。かっこいいよね、藤田くん」
一緒に食事をしていたみんなは、
一斉に十夜について話し始めた。
「何でそんな仲良いの?」
「何でって、別に…」
「藤田くん、下の子からも人気だし。みんな羨ましいと思ってると思うよ?」
あまりにも、居辛くて。
あたしは、愛想笑いで返し、
急いでお弁当を片付けて
教室を出た。
本当、十夜のせいで
いつも騒がれる。
意外と人気あるんだから、
変なことしないでほしいよ。
まったく。
そんなことを呟きながら、
職員室に行くと、
関根はあたしを呼んだことも忘れて
机に突っ伏して寝ていた。
あたしは腹が立って、
イスを思い切り蹴り、
来た道を戻って教室に向かった。
午後の授業は、午前中よりも
更に眠気が増して、
堪えるのに必死で。
この後、どんな話をされるか
予想も出来なかったあたしは、
悠長に関根同様、机に伏せて
眠ることにした。
「じゃあまた明日なー」
関根は帰りのHRを終えると、
あたしに謝りもせず、
とっとと教室から出て行った。
「朱里ちゃん、またね」
「うん、ばいばい」
みんなが手を振って帰って行く。
あたしはみんなを見送って、
1人教室に残る。
用事って何だろう。
ま、どこかへ遊びに行こうとか。
そういう話だろうな。
「朱里、お待たせ」
何が変なんだろう。
でも、何かが変だ。
2人とも、顔が強張っている。
「…うん、全然待ってないよ」
「場所変えよう。恵衣の家、行こう」
あたしは、麗華の態度に、
思考回路が混乱した。
きっとこれは、
遊びに行こうとか、
どこか行きたいなんて
いう話じゃない。
きっとすごくすごく、
大事な話なんだと思う。
あたしに聞かせるくらい、
周囲に気を遣わなきゃ
いけないくらい。
大事な、大事な話。
「お邪魔します」
「あら2人とも、よく来てくれて。久しぶりだねえ」
お家に入ると、
恵衣のお母さんが笑顔で
迎えてくれた。