万華鏡


「宮下さん!ベソかいてる暇ないわ。今月の資料持って来て。悪いけど残業してもらうわよ。とにかく今週中に入力し直さなきゃ。急いで!!」

「え…と。あの…。」

「何もたもたしてるのよ!?」

「今月の資料…どこでしたっけ?」

はあ!?今更何言って…。

「資料室入ってすぐの棚に日付順に並んでるでしょ。」

「……。」

「…もしかして、棚に仕舞ってないの…?」

恐る恐る聞くと、黙って頷く彼女。

「じゃあ、一体どこに…?」

「それが…覚えてなくてぇ。グス。」

「とりあえず考えられそうなとこ探して。私はパソコンで回復できるかどうか見てみるから。」

終業間際になって急にバタバタとし出した私たちを見て、一体どうしたのかと様子を窺われる始末。

あれこれ試してみたけれど…。

私が入力した部分はバックアップがある。

良かった。1ヶ月分も入力しなくて済みそうだ。

彼女が入力したのは二週間分。これなら何とかいけるかも…。




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