万華鏡


「仕方ないわ。ミスった分の穴埋めだもん。」

「明日も遅いの?」

「うん。多分ね。」

「この辺物騒だし、俺駅まで迎えに行こうか?」

「えー。いいよそんなの。悪いわ。」

「ほら、昨日のこともあるじゃん。俺も一応男だし、痴漢避けにはなるでしょ。

駅に着く時間メールで知らせてよ。アドレス教えて。」

躊躇っていると、

「ほら早く。」

と急かされる。仕方なくケータイを差し出すと、

「赤外線で入れてもいい?」

と聞く彼に黙って頷いた。

「ほい、できた。明日必ずメールしてね。」

そう言って部屋に入って行った。

駅から家までの道は薄暗く、ちょっと帰りが遅くなると人通りもない。正直怖かった。

少々強引ではあるけど、リョウ君の気持ちは有り難かった。




< 28 / 108 >

この作品をシェア

pagetop