おもちゃのユビワ
「あ、小池さん。先生に用事?先生だったら準備室だよ。」



(こ、小池…?)



秀二は思いもよらない小池の登場に焦った。


「先生にも用事なんだけど、その前に秀二くんに…」



「秀二に?」



ナオは小池の言葉に耳を疑った。



「小池さんが秀二に…?」



そう呟いてからナオはハッとした。



(もしかすると小池さんが秀二に告白?)



「あ、私ちょっとトイレに行って来るよ。じゃ。」



ナオは持っていたホウキを秀二に渡した。



「は?おい、ナオ!」



ナオは足早にその場を去った。



「もしかして私、中崎さんに気を遣われたのかな?」



小池は少しはにかんだ。



「で、用って?…兄貴の事か?」



「秀二くんも聞いたんだ?ビックリしたよね。まさか姉の彼氏が秀二くんのお兄ちゃんだなんて。」



(やっぱりこの話だったのか…。ヤバイな、ナオ帰って来ねーだろーな。)



「で?」



「ああ、用事は別にその事じゃないのよ。」



「え?」



「そりゃ、秀二くんに親近感はわいたんだけど、秀二くんは知らないみたいだったしね。用事は違うの。掃除が終わってからでいいんだけど、部長が話があるって言うから、ちょっと時間取れないかな。」



秀二は話が読めずにいた。



(部長?でも、兄貴の話ではないんだな。とりあえず様子見だな。)



「分かった。」



秀二は承諾した。



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