おもちゃのユビワ
秀二が家に帰ると、ナオが部屋で待っていた。



「なに先に帰ってんだよ。」



「だってジャマしちゃ悪いかなって思ったんだよ。」



ナオは秀二の部屋でくつろぎながら答えた。



「なに勘違いしてんだか?」



「それで、それで?何て言ってきたの、小池さん。」



ナオは好奇心をむき出して聞いた。



「告られましたって言わせたいだろうが、残念でした。」



「えーっ!違うのぉ?」



ナオは驚きながらも残念がった。



「何でお前が残念がるんだよ。」



「だって、秀二が告られるなんて事件だよ。」



「面白がるなよ。(人の気も知らないでよっ)」



知るわけがない。言ってないのだから。



「でもあの小池さんは秀二の事好きだね。私には分かるよ。
今に告られたりして~。そしたらさ、つき合っちゃう?」



ナオは秀二に無神経な言葉を浴びせた。



(はあぁ。)



さすがに秀二もこの無神経な言葉にへこんでしまった。それでもため息が出るのを殺し、心の中だけにした。



「じゃあさ、小池さんは何の用事だったわけ?」



秀二は陸上部に誘われたいきさつをナオに話した。


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