失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
亜美がやるのはそんなに難しい事ではない。
といっても失敗は多額の損失を意味するものばかり。
気を抜いてやれるものなんて一つもない。
「……手帳」
パソコンに送られてきていた次のスケジュール。
それを手帳に書き入れたいのに、見当たらない。
カバンを探ってもない。
――ということは……
ナイスタイミングで携帯がなった。
サブディスプレイに表示されていた名前は陽。
まだ朝早いのに……
っていうか鳴り止まない。
電話やないかーい!
「もしもし?」
「おはよう」
聞こえてきた声にかなりびっくりした。
「……カッスカスだね」
「うるせぇ」
寝起き感ありまくりですけど。
「それよりメールの、どういうことか説明しろ」
カッスカスの声であたしに質問する陽。
「……、」
あたしは迷った。
陽たちはあたしが深瀬であることを知っている。
だから別に仕事をしていることをいってもいい。
内容さえ言わなければ。
ということで、簡単に説明することにした。
自分から聞いたくせにあまり興味がなさそう。