失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
まぁいつものことだから。
「そんなことより、あたしの手帳知らない?」
しばらく考えるフリをした陽。
「……あぁ、赤いやつか?」
「それ!」
「それなら大翔がもうすぐ会うから渡しとくって言って持っていった」
“もうすぐ会うから”?
いつだよ。
「あたしはいつ大翔と会うの?」
「知らねぇよ」
ですよね。
「まぁいいや」
……………………………………よくなかった!
「だめだ!」
「は?」
「いや、何もない!大翔ね?ありがとう。じゃあね」
「ちょ、おい!」
陽の声が聞こえたが、あたしは電話を切った。
あの手帳のなかには、誰にも見せたくない写真が二枚はいっている。
つまり、あれはあたしの弱点だ。