失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
その言葉に、あたしと親父の手がとまる。
「帰って来んの?」
「亜美が望むなら」
なんてね、とか言って笑ったけど、あたしには冗談に聞こえなくて、戸惑ってしまった。
「それよら、お父さんは瑠伊が帰ってきたのを知らなかったんだが」
「え?」
てっきり親父は知ってるもんだと思ってた。
あたしだけが知らなかったんだって思ってた。
「誰にも言ってないよ。あー、ミッキーには言ったけど」
瑠伊の言うミッキーは、水木さんという、瑠伊についてくれているお世話がかりさんのあだ名だ。
「何でいきなり?」
「まるで、帰ってきてほしくないみたいな口調だね、隆さん」
「そんなことはない」
はっきり言い切った親父。
「まぁ、なんでもいいけど……、いきなり帰ってきたのには訳があるんだよ」
ちゃんといきなり帰ってきたのにはわけがあるらしい。
「何?」
「ゲームだよ」
「は?」
ちょっと待とうか。まずはもう一回聞こう。
「もう一回言って」
「だからゲーム」
うん、聞き間違いじゃないみたい。どういう事なのかきっちり説明してもらおうか。